学体連ニュース「第45号」
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1.(公財)日本学校体育研究連合会会長挨拶
運動部活動の地域移行をめぐって~ごあいさつに代えて~
日本学校体育研究連合会 友添秀則 会長
2.第60回全国学校体育研究大会愛媛大会からのお礼メッセージ
愛媛から愛顔(えがお)と感謝を
愛媛県教育委員会保健体育課 大野小百合 指導主事
3.お知らせとお願い
児島株式会社 JES日本教育シューズ協議会
1.(公財)日本学校体育研究連合会会長挨拶
運動部活動の地域移行をめぐって~ごあいさつに代えて~
日本学校体育研究連合会 友添秀則 会長
本年も、昨年同様に学体連を宜しくお願い申し上げます。昨年の愛媛大会は、はじめての誌上・ウェブ開催方式での実施となりました。愛媛大会実行委員会のご努力のお陰で、また多くの先生方のご参加を得て、盛会裡に終えることができました。皆様方には、この場をお借りしてお礼申し上げます。
残念ながら新年は、オミクロン株の流行とともにあけました。一時は収まったかに見えましたが、オミクロン株がデルタ株に急速に置き換わりました。昨年のような、私たちの日常を変え、多くの方々が被害にあうような深刻な事態が、再び起こらないように念じるばかりです。
さて、今回はいま、大きく変わろうとしている学校の運動部活動の改革の動向についてお話ししたいと思います。急速な少子化と働き方改革を受けて、週末の運動部活動の地域移行が段階的に令和5年度から始まります。さらに、その後の平日の運動部活動の地域移行についても、現在、スポーツ庁の会議で検討されています。
ところで、この20年間で中学生の運動部への入部者数は70万人が減りました。全国の多くの学校で学校単独でチームを組んだり、練習できなくなる日ももう目前に迫っています。また、文科省の教員勤務実態調査(平成28年度)によれば、小・中学校の先生方の1週間当たりの校内勤務時間は、副校長・教頭では60時間を超えています。また教諭も60時間弱の勤務時間になっており、一週間当たり、約20時間の残業時間になっています。平日1日あたりに平均すると、約4時間の残業になっています。さらに、10年前に比べると、中学校の土日の部活の指導時間は2倍に増えています。こういう現実を目の前にすると、学校の働き方改革は喫緊の課題だと思います。
実際のところ、運動部活動の地域移行を行うには、解決しなければならない課題が多くあります。この課題を具体的に抽出し、解決策を模索するために、昨年10月にスポーツ庁に「運動部活動の地域移行に関する検討会議」が立ち上がりました。私はこの検討会議の座長を務めています。この会議では各分野を代表する委員の方々が熱心に議論を重ねています。他方で、私も委員を務めているスポーツ審議会でも、この4月から始まる「第3期スポーツ基本計画」の審議の中で、運動部活動の今後の在り方についての議論も行われています。
地域移行に関する検討会議では今年の7月ごろには、報告書を出す予定で、今後も継続的に会議が開かれますが、地域移行に際しての課題を思いつくまま挙げてみたいと思います。先ずは地域でも受け皿をどうするかの見通しが必要です。また、地域のスポーツ指導者が十分に確保できるのか、地域でも指導したいと考えておられる先生方の兼職・兼業問題もクリアにしなければなりません。地域のスポーツクラブから中体連主催の大会等に生徒が参加できるようにする必要もあります。他方、万が一に備えて、怪我や事故に対する保険制度も必要です。部活動を運営するためには、多くの経費が必要ですが、受益者負担をどのように設計するかも難しい問題です。スポーツ環境に恵まれた地域とそうでない地域の格差をどのように是正するかも考えなければなりません。
明治時代の初めから、わが国は旧制の中等学校や高等学校、専門学校で運動部活動が校友会活動として盛んに行われてきました。運動部の地域移行は、これまでのわが国のスポーツ振興策や地域のスポーツ体制を大きく変えていくことになるようにも思います。
少子化や学校の働き方改革を考えると、現状では運動部活動の持続的発展が望めないことは明確です。だからこそ、運動部活動の持続可能性のために大きく一歩を踏み出すことが必要だと思います。そして、何よりも生徒の側に立った、生徒を取り巻くスポーツ環境の改善がもっとも大切です。いま、様々な立場から私たちの知恵を出し合うことが必要だと思います。
※「運動部活動の地域移行に関する検討会議」の議事録等は下記のURLで公開されています。
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/035_index/index.html
学研教育みらい 大修館書店 FOOTMARK ギムニク ミカサ
2.第60回全国学校体育研究大会愛媛大会からのお礼メッセージ
愛媛から愛顔(えがお)と感謝を
愛媛県教育委員会保健体育課 大野小百合 指導主事
昨年度、第59回全国学校体育研究大会福井大会の「誌上開催」が決定した時、それまで研究を重ねてこられた指定校園や御準備に携われてきた皆様のお気持ちはいかばかりかと拝察し、仕方のない状況とは言え、胸が痛くなると同時に、翌年に控える愛媛大会に向けて、通常開催とは違う準備の必要性を痛感いたしました。
この一年間、「もし、参集型の通常開催が叶わなかったとしても、コロナ禍においても諦めずに工夫と挑戦を続けていただいた12指定校園の研究の成果や、先生方の努力の賜物である子どもたちの愛顔(えがお)をなんとか全国の皆様に御覧いただく方法はないか」と試行錯誤を続けて参りました。スポーツ庁、学体連の皆様とも何度も協議を重ねながら御指導をいただき、本年度は「誌上・ウェブ開催」方式により、愛媛の取組を全国に発信するという機会をいただきました。初めての挑戦は常に手探りで、目の前に現れるハードルを1台1台夢中になって越えていく先に気が付けばゴールが見えてきた感じがいたします。
思い起こせば3年前、分科会会場校にお願いに伺った際、ある校長先生が「愛媛大会に向けた取組が本校の教員の授業力向上に繋がるので喜んでお引受けします。失敗の含めた研究の過程を全国に発信することで愛媛の先生方の授業力向上にも繋げていきましょう」とおっしゃってくださったことが心に残っています。その言葉のとおり、12指定校園の挑戦は確実に愛媛の授業力向上に繋がっていると自負しております。
直前まで修正を重ねた動画配信がいよいよスタートした際、全国の皆様からあたたかいメールやお電話を頂戴いたしました。「チーム愛媛」の思いが動画を視聴いただいた皆様に届いたのだと実感し、心から安堵したと同時に、このような挑戦をお許しいただきました皆様に対し、改めて感謝の思いでいっぱいになりました。
今回の授業を通して、子どもたちの愛顔(えがお)が輝き、先生方の易しい愛顔(えがお)があふれたことを本大会の一番の成果として、次年度開催の滋賀県にたすきをつなげたいと思います。
最後になりましたが、愛媛大会にお力添えをいただきました全ての皆様に御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
教育シューズ振興会 第一学習社 学校体育シューズ研究会(アスティコ・協和)
3.お知らせとお願い
(1)メールマガジンやホームページを通して全国の学校体育研究団体、学校、個人の方々の研究活動を紹介したいと考えています。皆様の周りでご活躍されている研究団体、学校、個人の方々を下記メールアドレスへご紹介ください。
email: hstgakutairen_male@yahoo.co.jp
(2)メールマガジンバックナンバーは以下のホームページでご覧になれます。ホームページアドレス:https://gakutairen.jp/mailmagazine/
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編集後記
メールマガジン「学体連ニュース第45号」を発刊しました。変異株による新型コロナの蔓延によりなかなか収束がみえない情勢ですが、皆様と共にこの難しい時期を乗り越えていきたいと考えています。2022年もどうぞよろしくお願いいたします。また、このメールマガジンに関するご感想・ご意見などを下記メールアドレスまでお寄せください。なお、このメールマガジンへの返信は下記のメールアドレスにお願いします(こちらのメールへそのまま返信頂きましても受信できません)。
学体連メールマガジン編集部
hstgakutairen_male@yahoo.co.jp
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発行日 令和4年2月7日(月)
発行者 公益財団法人日本学校体育研究連合会メールマガジン編集部