「学体連ニュース第47号」
先日配信させて頂いたメルマガ第47号に修正箇所が見つかったため,修正したメルマガを再発行させて頂いています。誠に申し訳ありません。
甚暑の候,皆様ますますご活躍のこととお喜び申し上げます。学体連ニュース第47号では日本学校体育研究連合会理事長細越淳二よりご挨拶させて頂きます。また今夏に実施している全国学校体育等指導者講習会の様子をお届けします。残暑厳しいこの夏,先生方におかれましても全国各地で研修に励んでおられることと思います。コロナ後の今,これまで以上に皆様と学校体育を盛り上げていきたいと考えています。
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【目次】
1.(公財)日本学校体育研究連合会理事長挨拶
2.令和5年度 全国学校体育等指導者講習会
(1) 第52回全国幼児の運動遊び指導者講習会 幼稚園の部
(2) 第52回全国学校体育実技指導者講習会 小学校の部
(3) 第33回全国学校体育実技指導者講習会 中・義務教育・中等教育・高等学校・特別支援学校対象部会
3.第62回全国学校体育研究大会山形大会開催要項一次案内について
4.お知らせとお願い
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1.(公財)日本学校体育研究連合会理事長挨拶
(公財)日本学校体育研究連合会 理事長 細越淳二
5月8日,新型コロナウィルス感染症の感染症分類が5類へと変更になりました。コロナが蔓延して以降,全国の学校ではこれへの対応,つまり子どもたちの安全・安心の確保に全力で取り組んできたわけですが,5類への移行を機に大きな縛りが解けて,ようやく子どもたちが思い切り学ぶことのできる環境が戻ってきたように思われます。
しかし,コロナはもちろんのこと,インフルエンザなど感染症への備えを継続的に行うべきであることは言うまでもなく,引き続き感染症と向き合いながら新たな学校体育の姿を創り出していく時期にきているということができるでしょう。5類移行後の学校の様子,学校体育の姿は,どのようになっているのでしょうか。ここでは,ポスト・コロナの学校体育(体育的行事を含む)を,いくつかの視点から考えてみたいと思います。
まず,コロナ禍を経て低下した子どもの体力・運動能力についてです。令和の時代に入って以降,子どもの体力レベルは低下し続け,一方で肥満率が上昇し,スクリーンタイムの長さと体力レベルのマイナスの関係性も見えてきています。子どもたちが健全に心も体も成長していくための体力・運動能力を,体育授業をはじめ,学校教育活動全体を通じてどのように回復していけるのか,真剣に向き合う必要があります。
そして,この体力低下と同時に様々な運動経験に不足及び動きの未獲得の問題も見受けられます。コロナ禍を経て怪我が増加したという報告,従来であれば日常の運動遊び・運動様式の中で経験し身に付けているべき動きに触れてこなかった子どもたちの存在などが問題として指摘されています。このような状況の中で学校体育は,学習指導要領の内容を踏まえつつ,目の前の子どもの実態に即した丁寧な授業改善が求められているといえます。全ての子どもたちが運動を介して意味ある学びを得て,運動好きになるための,更に積極的な取り組み・効果的な実践についての情報共有を進めることが大切になります。
加えて,子どもたちが自ら主体的に学習を進めていく授業の在り方についても,そのモデルケースが必要とされているように思います。体育・保健体育における「個別最適な学び」「協働的な学び」「主体的・対話的で深い学びを通した授業改善」の具体像を共有するとともに,子どもたちが思考し判断しながら学びを進めるために,私たちは何を用意し,どのように関わればよいのか,そしてその見取りをどのように次の指導に活かしていけばよいのか,といった課題に,授業実践を通して答えを見付けていくことが求められています。
最後に体育的行事についてです。5月から6月そして秋には,運動会や体育祭を実施する学校が多く見られます。5類移行後の運動会や体育祭の在り方についても,各学校では議論が重ねられているようです。その一端を見てみると,全学年が一堂に会することが可能なのかどうか,保護者や地域の参観を制限すべきなのかどうか,参観の場所をどのように確保すればよいのか,といった感染症対策についての議論や,午前中のみの運営が望ましいのではないか,子どもたちが入るテントの確保ができるのか,という熱中症のリスクを踏まえた議論,行事の準備に係る教員の業務量は適正なのか,という教員の働き方についての議論等々,地域の実情等にも照らしながら検討が重ねられています。結果として,従前の運動会ではなく,半日でこれらの行事を展開する学校が増えているように思います。これからの体育的行事の在り方を,各地の実施状況を踏まえ整理することが求められています。
以上のように,ポスト・コロナのいま,私たちが子どもたちのためにすべきことは多数ありますが,全国で日々,取り組みを続けておられる各都道府県学体連のみなさまと力を合わせて,学体連も取り組みを進めていきたいと考えております。今年度の全国学校体育研究大会は,山形県での開催となります。山形の地においても,ぜひみなさまと情報共有できればと思います。引き続き,どうぞよろしくお願いいたします。
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2.令和5年度 全国学校体育等指導者講習会
「運動って素敵!」。学体連事業の大きな柱の一つである指導者講習会。今年の夏も大いに盛り上がっています。令和5年度もこの7月及び8月に4つの研修会が開催されます。今回はすでに実施された3つの講習会を紹介します。それぞれの詳しい内容については学体連会報第60号に掲載されますので,そちらをご一読いただければ幸いです。また,8月22日に兵庫県で開催される指導者講習会については,次号で紹介したいと思います。
(1) 第52回全国幼児の運動遊び指導者講習会
2023年7月25日,東京都の千代田区立千代田小学校体育館にて第52回全国幼児の運動遊び指導者講習会が開催されました。第52回目となる今回,主題は「健康な心と体を育てる運動遊びについて」,4名の講師の先生方をお迎えして開催しました。昭島市立光華小学校校長の眞砂野裕先生には子どもが夢中になって遊ぶ,小学校に繋がる運動遊びの数々を,参加いただいた先生方の笑顔と共にたくさんご紹介いただきました。一般社団法人あそび庁代表理事の小山亮二先生には,子どもたちのウェルビーイング(幸福)を考えながら,遊びの本質についてとても有益な情報をご提供いただくと共に,「楽しい!面白い!気持ちいい!」といった気持になる運動を参加された先生方とみんなで楽しみました。
午後は,まずこども体育研究所の笠原孝之先生より,小学校の器械運動に繋がる運動として,様々な技をご紹介いただくとともに,それぞれの技を練習するときに重要となる補助の仕方を具体的に一つ一つご教授いただきました。また最後にご登壇いただいた東京女子体育大学の堀内亮輔先生には,子供たちが大喜びする大きなバルーンを用いてストーリー仕立ての運動遊びの行わせ方をご紹介いただきました。
(2) 第52回全国学校体育実技指導者講習会
2023年7月25日及び26日,東京の千代田区立昌平小学校にて第52回全国学校体育実技指導者講習会が開催されました。日本女子体育大学の須甲理生先生にはボール運動を,筑波大学の三田部勇先生には体つくり運動を,そして器械運動を日本大学水島宏一先生,多様な動きをつくる運動(遊び)を神戸女子大学住本純先生に講師としてお招きして講習会を行いました。須甲先生には系統性を踏まえた球技系の教材を,三田部先生には多様な動きをつくる運動で取り扱いたい運動をご紹介いただきました。水島先生には小学校段階で身に付けたい感覚づくりの基礎を,住本先生にはGボールを使った様々な運動をご紹介いただいています。2日間にわたる今回の講習会は東京以外の地域からも21名の先生方にご参加いただけましたし,全体では120名を超える方々と研修を進めることができました。とりわけ参加された先生方の熱心な講習会への参加態度には圧倒されましたが,互いに活発な議論を行ったり,講師の先生方に教えて頂いた動きなどを写真や動画におさめメモを取る先生方が多数いたりしてとても有意義な講習会となりました。
(3) 第33回全国学校体育実技指導者講習会 中・義務教育・中等教育・高等学校・特別支援学校対象部会
2023年8月10日,東京都千代田区立九段中等教育学校にて第33回全国学校体育実技指導者講習会中・義務養育,中等教育,高等学校,特別支援学校対象部会が開催されました。今回はライフキネティック日本支部のマスタートレーナーである中川慎司氏と東京都立日野台高等学校の杉山幹直先生に講師としてご登壇いただきました。中川氏にはいかに運動を行う際に脳を使うことが大切であるか,その必要性についてとてもわかりやすくご説明いただくとともに,実際にボールを複数同時に処理する運動を参加者に体験してもらいながら脳と動きを一体化する重要性についてご教示いただきました。また,杉山先生にはバレーボールを指導する際に最もゲームの醍醐味となるラリーの興奮を体験しやすくするためにラリーが繋がっている回数がそのままその時の得点となるゲームルールをご紹介いただくなど,バレーボールの本質的な魅力を体験的に指導する方法をご紹介いただきました。
教育シューズ振興会 第一学習社 学校体育シューズ研究会(アスティコ・協和)
3.第62回全国学校体育研究大会山形大会一次案内について
第62回全国学校体育研究大会山形大会の開催要項(一次案内)を山形大会事務局よりご案内頂きました。このメルマガにそのURLを掲載致します。
【開催要項URL】:2023yamagata_ichijiannai.pdf (gakutairen.jp)
日進ゴム 光文書院 大日本図書 東京書籍 Senoh 廣済堂あかつき WSSA-JAPAN 三和製作所 ブランロッシュ こども体育研究所 ミズノ GRIP
東商アソシエート エバニュー PLUS 正進社 東洋館出版社
4.お知らせとお願い
(1)メールマガジンやホームページを通して全国の学校体育研究団体、学校、個人の方々の研究活動を紹介したいと考えています。皆様の周りでご活躍されている研究団体、学校、個人の方々を下記メールアドレスへご紹介ください。
email: hstgakutairen_male@yahoo.co.jp
(2)メールマガジンバックナンバーは以下のホームページでご覧になれます。ホームページアドレス:https://gakutairen.jp/mailmagazine/
本財団は「公益信託日本教育シューズ学校体育振興基金」から助成を受けております。
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編集後記
メールマガジン「学体連ニュース第47号」を発刊しました。2019年からコロナによって体育授業においても実践上大きな影響を受けました。しかし,多くの先生方や関係者の皆様が一層授業改善に向けて努力されているのを目の当たりにします。11月には山形で全国大会が開催されます。また皆様と多くの有益な情報交換できることを楽しみにしたいと思います。
このメールマガジンに関するご感想・ご意見などを下記メールアドレスまでお寄せください。なお、このメールマガジンへの返信は下記のメールアドレスにお願いします(こちらのメールへそのまま返信頂きましても受信できません)。
学体連メールマガジン編集部
hstgakutairen_male@yahoo.co.jp
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発行日 令和5年8月24日(木)
発行者 公益財団法人日本学校体育研究連合会メールマガジン編集部
email: hstgakutairen_male@yahoo.co.jp